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「面白いゲーム」と「面白くないゲーム」は、何が違うのでしょうか?
今回は、このなかなか面白いテーマについて掘り下げていきます。
参考にするのは、2冊の本です。
『ついやってしまう体験の作り方』
元任天堂の企画開発者の方が書かれた本で、スーパーマリオやドラゴンクエスト、風ノ旅ビト、ラストオブアスといった名作が、なぜ面白いのかを独自の分析で解説しています。
2冊目は『思考の穴』
こちらはゲームの本ではありませんが、人間の認知の歪みについて、いろいろと解説した本です。
この2冊を手がかりに、テーマを見ていきましょう。
1. 結論: パッと見てルールが分かるかどうか
結論から言うと、面白いゲームかどうかの分かれ目は、パッと見てルールが分かるかどうかです。『ついやってしまう体験の作り方』によると、そういうことになります。
これは、なるほどと思いました。
そもそも、ゲームとは何でしょうか。ゲームが映画と決定的に違うのは、プレイヤーが選択をして、その結果が返ってくるという点です。いわゆるインタラクティブ性ですね。
何か行動を起こすと、その結果が返ってくる。これこそが、ゲームをゲームたらしめている所以です。
仮説→検証→結果のサイクル
プレイヤーは、常に頭を働かせています。仮説を立て、それを検証し、返ってきた結果を見てリアクションする。この繰り返しがゲームです。
スーパーマリオで言うと、こんな流れになります。
- 「このゲームは、右に動かすんじゃないか」と仮説を立てる
- 手元を見ると、コントローラーに右ボタンがある
- 右を押すと、マリオが動いた
- 「なるほど、これは右に進むゲームなんだ」と理解する
この仮説→検証→結果の流れがスムーズであるほど、そしてその体験が快感であるほど、ゲームは面白くなる。『ついやってしまう体験の作り方』には、そう書かれています。
2. 人は「思い通りになるもの」に好感を抱く
では、なぜ「ルールが分かること」がそれほど大切なのでしょうか。
ここで『思考の穴』や行動経済学の本を見てみると、その理由が見えてきます。どうやら人間は、想定通りに動くものに好感を抱くらしいのです。
思い通りになるものには好感を、思い通りにならないものには不快感を抱く。これが、僕らの脳のクセのようです。
「読みやすさ」と「好感度」の関係
分かりやすい例があります。僕らは、読みやすい文章を書く人に対して、好感を抱きやすいそうです。
『思考の穴』で紹介されていた例では、読みやすい名前の人ほど好感度が高く、逆に読みにくい名前の人は好感度が低い、というデータがあるそうです。なるほど、分からなくもない話ですよね。
不快感は「相手のせい」にされる
読みやすい名前を見ると、「読みやすい」という快感があります。逆に読みにくいものを見ると、「理解できない」という不快感があります。
そして、この不快感を覚えたとき、人の脳はどうやらそれを相手のせいにしやすいらしいのです。
ゲームに当てはめてみましょう。スーパーマリオのように分かりやすいルールだと、脳は「これは快感だ、このゲームは面白い」と感じやすい。
一方、ルールが分からないゲームや、言っていることがよく分からないゲームに出会うと、脳が不快感を覚えて、「このゲームを作ったやつが悪い」と解釈してしまうらしいのです。
これは面白いですよね。確かに、覚えがあります。
難易度の高いゲームでクリアできないのは、明らかに自分の実力不足。それなのに、その怒りの矛先を開発者に向けたくなる——あの気持ちは、すごくよく分かります。
3. つまり、「体験が快感かどうか」がすべて
ここまでをまとめると、こうなります。面白いゲームと面白くないゲームの違いを一言で言えば、体験が快感かどうかに尽きます。
ここから、ゲームを作るうえでのヒントも見えてきます。たとえば——
- ルールは、とにかくシンプルにする
- 老若男女、誰が見ても分かるルールにする
- 文章は、分かりやすくする(読みにくい漢字や、特殊な人しか読めない漢字はNG)
- 謎解きを用意するなら、「クイズ」にしてはいけない
最後の「謎解き」と「クイズ」の違いは、けっこう大事です。次の章で詳しく見ていきましょう。
4. 「謎解き」と「クイズ」は違う
この観点で見ると、はっきり差が出るものがあります。コンシューマーゲーム(カプコンや任天堂などの大手が出すゲーム)と、フリーゲーム・インディーズゲームの「謎解きの優しさ」です。
フリーゲームの謎解きでよくあるのが、謎解きではなく「クイズ」になっているというパターンです。一方、コンシューマーゲームの謎解きは、絶対にクイズにはなりません。
では、この2つは何が違うのでしょうか。
謎解き=その場のヒントで解ける
謎解きとは、その場にあるヒントから答えを導き出せるものです。
バイオハザードで言うと、その場にちゃんとヒントがあります。
短剣と長剣を持った戦士が刺し違えている絵があって、「短剣と長剣が交わる時に扉は開く」というメッセージが書かれている。そして、その横に時計がある。これが動かせます。
「短針と長針を、その位置に合わせればいいのか」と、ヒントを見れば分かる。これが謎解きです。
クイズ=前提知識がないと解けない
一方で、クイズとは、前提知識がないと絶対に解けないものです。
たとえば「300+800=?」は、計算ができる——つまり義務教育を出ている人でないと解けません。「三角形の定理を求めよ」と言われても、数学をやっていない人には分からない。
老若男女、国籍を問わず誰にでも伝わるメッセージには、なり得ないわけです。
ゲームを作るなら、この辺りの難易度調整には気をつけたほうがいいかもしれません。
まとめ
- 面白いゲーム=パッと見てルールが分かるゲーム
- 人は想定通りに動くものに好感を抱き、不快感は「作った側のせい」にしがち
- ゲームの面白さは、結局体験が快感かどうかに尽きる
- ルールはシンプルに、文章は分かりやすく
- 謎解きはOK、クイズはNG(その場のヒントで解けるかどうかが分かれ目)
参考文献
- 『ついやってしまう体験の作り方』 — 元任天堂の企画開発者による本。スーパーマリオ、ドラゴンクエスト、風ノ旅ビト、ラストオブアスなどの名作が、なぜ面白いのかを独自の視点で分析している。
- 『思考の穴』 — 人間の認知の歪み(バイアス)を、さまざまな例を通して解説した本。ゲームの本ではないが、「人がなぜそう感じるのか」を考えるヒントになる。

